深夜の出来事だった。
濃い霧が立ちこめた高速道路の移動中にその事態は発生した。
急にエンジンの力がなくなり、速度が見る見る落ちて来た。
「お腹が空いて動けないよぉ〜」
真珠鼠の無言の叫びが聞こえるようだ。
正直思い当たるフシはあった。
給油ランプが点いてから、かれこれ100km以上走っている。
慌てて路肩に寄せて緊急停止した。
インター出口まであと2km、付近にはGSもある。
バイク経験者なので、「ガソリンのタンク落ち」に賭けることにした。
ガス欠時に、暫く静止していると、燃料系各部のガソリンがタンクに戻って来て、多少走れることがあるのだ。
ハザードだけが点滅する車内で、しばし行く末を案じる。(笑)
そして、エンジンスタート...
案の定真珠鼠は自分が空腹なことも忘れて、目覚めてくれた。
路肩をソロソロと走った...だが、出口の500m手前で再びエンジントップ!
真珠鼠が完全にへそを曲げてしまった。
万事休す。
押そうにも、現代の軽はパワステが効かないとハンドル切れないし、それ以前に車重が重い。
目出度くJAFの出番と相成った。
会員なので、高いガソリン代を支払ってことなきを得た。
帰路の車中、給油を怠ったことを反省し、すこしブルーなぱっぱちゃんを尻目に、ご機嫌で疾駆する真珠鼠であった。