バッテリーが完全にイカれたことはお話しした。
バッテリー液が無くなって、電極が完全に剥き出し状態だった。
JAFの隊員の方から、もう復活は無理だと太鼓判を押される有様だ。
翌日近くのカーショップで一番安いバッテリー補給水を買って来た。
今更「強化」だの「ゲルマニウム入り」だの「電極復活」だの、高い補給水は無駄だと判っていたからだ。
夜の駐車場で指定水位までバッテリー液を補水した。
案の定スターターはウンともスンとも言わない。
昨晩に続いてJAFを呼んでエンジンをかけてもらう。
もう蓄電能力がないから、エンジンを切ったらまた終わりだと念を押された。
無性にドライブがしたくなった。
最近忙しくてずっと真珠鼠に乗っていなかった。
深夜の行く先の無いドライブ...
ラジオも点けず、ただただ国道を流した。
いつになく真珠鼠が静かに、哀しく走るように感じた。
寒く澄んだ夜空のもと、真珠鼠との無言の対話が続いた。
何処にも連れて行ってもらえず、きっと拗ねていたに違いない。
近くてもいい、何処か旅に出よう...そう約束して短いドライブは終わった。
私を見送るドアロックのハザードランプが少し嬉しそうに点滅した。
バッテリー上がりの夜空に。