次世代DVD抗争の顛末を見るにつけ、ベータ・VHS抗争を思い出す。
私はマニアックなので、構造的・性能的な面でベータに魅力を感じていたが、結果は衆目の知るところである。
当時、勝敗を決した要因はハリウッドを始めとするソフト戦略にあったと言われているが、私はそうは思わない。
ベータは大衆の無知に負けたのだと思う。
両方式の最長録画時間の差が一般消費者には大きく影響した筈だ。
見るに耐えない長時間モードで、しかも頭出しの苦手なアナログ時代に、録画時間を競っても意味が無いことは、実際に使ってみれば直ぐに判ることだ。
ネットに情報の溢れる現代ならば、違った結末になっていたかも知れない。
そして、ベータの結末はあの新聞広告で決定的になる。
「ベータは無くなるの?」と題された反論広告だ。
ベータが無くなる訳は無く、心配無用と言いたかったようだが、これが世間一般にベータ劣勢を印象付けてしまったことに疑う余地はない。
かくしてベータマックスは家電から姿を消した。
ビデオ黎明期にはレンタルビデオショップに両方式が並んでいた異様な光景は、セピア色の想い出となった。