「27台ぶんのパーキングエリア/板橋雅弘」
子供の頃から本の類いは殆ど読んだ事が無い。
文学、小説、エッセイ...本当に、徹底的に、読んだ事が無い。
恐らくこの本は私が能動的に買った、生涯でも数少ない「本」だ。
雑誌の連載で凄く面白くて、それを纏めた本が出て直ぐに買った。
車自身の独白という形をとった、車評なのだが、途方も無く的確なのだ。
何より惹かれるのは、その視点が車単体の性能ではなく、車を取り巻く社会、或は、乗り手の生活にあるからだ。
単なる自動車インプレッションではない、車好きをも唸らせる「退いた目線」が私を捕らえて放さなかった。
遥か昔に絶版になっている古い本だ。
登場する車も今となっては懐かしいを通り越した旧車になってしまっている。
出来る事なら、現代の車で最新のパーキングエリアを設置して欲しいものだ。
ある日、押し入れの奥からこの本を見つけた妻がボソリと言った。
「ぱっぱちゃんの文章って、この本そのまんまだね(笑)」
何も否定するつもりは無い。
私は大いに影響を受けている...だって、これしか読んだ事が無いんだから...